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その振動、どう止める?──“設計・運用・保全”の3方向から考える現実的な振動対策

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 6月10日
  • 読了時間: 3分

はじめに

「振動が大きいことはわかった。でも、どう対策すればいいのか?」この問いに、多くの現場が直面しています。

ただ、振動は“完全にゼロにはできない”もの。だからこそ現実的な対応が必要です。

本記事では、

  • 振動が発生する“物理的な仕組み”

  • 現場でできる“手当て”の種類

  • 設計/運用/点検それぞれの視点での対策方法

を、技術と現場感をつなぐ視点でわかりやすく整理します。


目次

1. 振動が発生する理由をふりかえる
2. 対策の切り口①:設計で抑える
3. 対策の切り口②:運用で減らす
4. 対策の切り口③:保全で見張る
5. “やってはいけない”対策例


1. 振動が発生する理由をふりかえる

振動の基本式は、質量・剛性によって支配されます:

お馴染みの式になってきたでしょうか?








  • f:固有周波数

  • k:バネ定数(剛性)

  • m:質量

この式からわかる通り、振動を変えるには「質量・剛性」に働きかけるのが本質です。


2. 対策の切り口①:設計で抑える

🔧 設計段階での振動対策

手法

内容

注意点

共振周波数の分離

発生源(ポンプ等)と構造の固有振動数をズラす

設計初期に必要な振動解析

配管サポートの最適化

支持位置・固定点を調整

固定が硬すぎても危険な場合あり

質量追加

質量を増やして共振周波数を下げる

構造補強や支持強化が必要

フレキシブル継手の導入

ポンプ〜配管間に防振継手を挿入

配管応力への影響に注意

💡 設計ミスの例:

  • 振動源近くのフランジに支持を集中 → 増幅ゾーンを作ってしまう

  • サポートが左右で非対称 → ねじれ共振が発生


3. 対策の切り口②:運用で減らす

⚙️ 運用面での振動管理

対策

内容

効果

回転数の管理

共振点を避けたRPM設定

音・振動の急激な変化を避ける

バルブ開度の調整

振動を誘発する流速領域を避ける

キャビテーションの抑制にも

運転モードの見直し

急加減速・高負荷運転の回避

機械疲労の低減につながる

📝 :蒸気ラインの高速開閉 → ウォーターハンマーと振動のセット発生


4. 対策の切り口③:保全で見張る

🔍 定期点検で異常を“早期発見”

手法

ポイント

使用機器

振動レベルの定期測定

周波数・レベルのトレンド管理

振動計・FFT対応センサー

打音・触診・目視

微細な変化の察知

ハンマー・指・五感

自動モニタリング化

しきい値でアラート出力

IoTセンサ・クラウド連携

📌 ヒント

  • 「数値はOKでも、音が変」→ 構造共振や摩耗進行の兆候かも

  • 「3ヶ月ごと→月1点検に変更」→ 兆候の見逃し防止


5. “やってはいけない”対策例

バネやゴムでごまかす:→ 周波数によっては逆効果。防振材の“特性曲線”を見ずに使うのはNG

音が消えた=OK?:→ 振動が他構造に逃げただけのことも。根本原因の除去ではない


まとめ

🔧 振動対策は“総力戦”です。設計・運用・保全のすべてのフェーズに関係します。

本記事の要点:

  1. 振動対策の本質は「共振を避ける」こと

  2. 設計時に“固有振動数”を意識するのが第一歩

  3. 運用と保全でも“兆候の早期発見”がカギ


振動-No.6

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