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なぜ配管は壊れるのか?保全のための“基本構造”と弱点の見かた

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 4月29日
  • 読了時間: 4分

はじめに

配管の保全をしていると、「なんで毎回ここで壊れるんだろう?」と感じたことはありませんか?それにはちゃんと理由があります。

この記事では、配管の構造と負荷のかかりやすいポイントをやさしく解説しながら、「どこを見るべきか?」「なぜそこが弱いのか?」をつかめるようにまとめました。

家庭の水道や車の冷却ホースなど、身近な例から理解を深めていきましょう。


目次

1. 配管の基本構造と素材
2. 配管が壊れる“典型的な場所”
3. なぜそこに負荷がかかるのか?(力の集中と劣化要因)
4. 現場でよく見る故障例
5. 家庭や車の中の“配管”を探してみよう


1. 配管の基本構造と素材

配管は「管」です──でも、単にパイプがまっすぐ通ってるわけではありません。

🔩 基本的な構成

  • 直管部:まっすぐのパイプ。最も強くシンプルな部分

  • 継手部(つぎてぶ):配管同士をつなぐ接合部(溶接・フランジなど)

  • 曲がり(エルボ):向きを変えるために付く曲げた管もしくは直角継手する部分

  • 支持部:配管を固定・保持する金具(Uボルト、サドル、クランプなど)

これらの部位は、それぞれに物理的な負荷劣化しやすい条件があるため、「どこが壊れやすいのか?」という視点で構造を見ていくことが重要です。


2. 配管が壊れる“典型的な場所”

保全の現場で異常や破損が集中する場所には、いくつか共通点があります。

👇 よく壊れる“弱点ポイント”

部位

壊れ方

原因

継手部

漏れ・亀裂

応力集中、腐食、変位集中

曲がり部

割れ・摩耗

流速変化、応力集中

フランジ

漏れ

パッキン劣化、締結ゆるみ

支持部

たわみ・疲労破断

固定不良、振動伝達

止端部

圧力集中

キャップやバルブ閉止による

📌 一見「管そのもの」が原因のように見えても、実は“接合部や境界部”に問題が集中していることがほとんどです。


3. なぜそこに負荷がかかるのか?

🧠 キーワードは「応力集中」と「境界」

力は均一にかかっているようで、実は“形の変わるところ”に集中しやすいもの。この性質を「応力集中」といいます。

例えば:

  • まっすぐな配管に比べて、エルボの内側は曲がっている分、力が片寄る

  • 継手は異種素材や異なる太さをつなぐこともあり、そこで違う動きがぶつかる

  • 支持金具の部分は、固定点になっており、動きが止められて応力がたまる

📐 力の分布が急に変わる部分は、熱・振動・圧力変化の影響が集中するということです。


4. 現場でよく見る故障例

📌 ケース1:支持部近くの割れ

長い直管部端部のエルボを止める支持部が割れていた。→長い直感部の重量を一手に受け止めていたため 応力がたまり、疲労破壊。

📌 ケース2:継手からの漏れ

配管交換時に締め直しが甘く、フランジパッキンがずれていた→ 徐々に蒸気漏れが拡大、周辺腐食で再修理。

📌 ケース3:エルボ部の摩耗破損

高流速の液体がエルボ内壁に強くぶつかる構造になっていた。→ 流速によるエロージョン摩耗で穴あき。


5. 家庭や車の中の“配管”を探してみよう

配管の基本構造や壊れ方は、家庭や自動車にも通じます。

🚿 家庭の水道

  • 蛇口の付け根(継手) → よく水漏れするポイント

  • 洗濯機のホース(曲がり) → 折れやすく、水が滞留しやすい

🚗 車の冷却系ホース

  • エンジンの振動により、ホースの付け根から割れやすい

  • 高温・高圧・振動が重なる「典型的な過酷条件」

📌 こうした“日常の例”に目を向けることで、工場配管の見かたも直感的に理解しやすくなります。


まとめ

🔧 この記事のポイント

  • 配管の弱点は「境界」と「形の変化」に現れやすい

  • 応力集中、振動、腐食などが破損のきっかけに

  • 継手・フランジ・エルボ・支持部に注目すること

  • 身近な水道や車の配管でも、同じような壊れ方がある

🛠️ 明日からできること

  • 点検時に「境目」や「曲がり」にフォーカスする

  • 補修や変更時は“もともとの意図”を見逃さない


配管-No.2

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