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なぜ“事後保全”がダメと言われるのか?―でも全否定しないための考え方

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 6月6日
  • 読了時間: 3分
  1. はじめに

「まだ事後保全で運用してるの?」

「いつ壊れるか分からない設備をよく動かせるね…」

こんな言葉を上司や外部の指摘で聞いたこと、あるかもしれません。でも、現場からすれば「全部を予防保全に切り替えるなんて非現実的だよ」と思うのが正直なところ。

この記事では、事後保全の「リスク」や「限界」を改めて整理しつつも、一方で“うまく使えば有効な戦略”にもなることを、中立的に解説します。


💡この記事でわかること

  • なぜ事後保全が“悪者扱い”されがちなのか

  • でも、実際は「必要悪」でもある理由

  • 事後保全を“あえて選ぶ”ための考え方と条件


2. そもそも“事後保全”とは?

事後保全(じごほぜん)とは、設備や部品が壊れてから修理・交換する保全方式です。他と比較すると、こんな違いがあります👇

保全方式

タイミング

代表的な内容

事後保全

故障後

壊れたポンプを交換、漏れた配管を溶接など

予防保全

故障前(時間や経験値で交換)

定期交換、法定点検、O/H(オーバーホール)

予知保全

故障前(状態変化を見て判断)

振動監視、AI診断、センサーデータによる判断


3. なぜ“事後保全はダメ”と言われるのか?

「事後保全=後手に回る」印象のせいで、以下のようなリスク面がよく指摘されます。

🔻 事後保全のリスク

  • 突発停止が業務に与えるダメージが大きい → 設備トラブルが生産ライン停止に直結

  • 壊れてからでは対応が間に合わないことも → 交換部品が届かない、代替機がない、夜間対応が不可

  • 二次被害が発生する恐れ → 漏れ → 火災や感電、配管破断 → 人身事故など

特に、安全性や社会的責任が問われる業種では、「壊れるまで放っておく」という姿勢が信用を失う要因にもなりかねません。


4. それでも「事後保全が合理的」な場面とは

とはいえ、現実には事後保全が選ばれる理由もあります。つまり、“全部が全部ダメ”というわけではないのです。

✅ あえて事後保全が許される条件

条件

具体例

安全性に影響しない

水道の蛇口パッキン、照明ランプなど

壊れてもすぐ直せる

予備機あり・交換簡単・作業短時間

費用対効果で納得できる

壊れてからでも年間コストが安い場合

予兆がそもそも出にくい

突発的に破損する小部品など

🔧 たとえば、家庭のトイレの給水弁水道のゴムパッキンなど、「壊れてから交換」で十分なケースは私たちの身の回りにも多数あります。


5. 事後保全を“言い訳”ではなく“選択肢”にする視点

事後保全を導入している現場が、よく言われる言葉があります👇

「今は人も時間も足りないから、しょうがないんだよね…」

この言葉が本音である一方、「将来的にどう変えていくか」の視点が抜けると、「怠慢」ととらえられがちです。


🎯 キーワードは「段階的戦略」

  • まずは事後保全 → 優先設備だけ予防保全へ移行

  • 判断根拠を持つことで“選択している”ことを明示

  • 点検記録を残し、予兆を少しずつ拾えるようにする

つまり、「事後保全も立派な選択肢」だと説明できるには、理屈・記録・評価の裏付けが大事になります。


6. まとめ

🔹 事後保全は確かにリスクがあるが、全否定はNG

🔹 条件次第では、最もコスパがよい選択肢になることもある

🔹 重要なのは“なんとなく”ではなく“理由をもって選んでいる”という姿勢


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