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SwRI配管振動評価線図とは?

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 6月11日
  • 読了時間: 3分

~ 変位×周波数で“危険な振動”を見抜く4つの判断ライン ~



はじめに

工場やプラントで「配管が揺れているけど、どこまでが危険なのか?」という判断に悩んだ経験はないでしょうか?その判断の軸として、SwRI(Southwest Research Institute)が提案している「振動評価線図(変位 vs 周波数)」が、多くの現場で活用されています。

この記事では、SwRI基準線図の成り立ち・4つの評価ラインの意味・現場での使い方と注意点を丁寧に解説します。


目次

1. SwRIの振動基準線図とは
2. 4本の評価ラインとその意味
3. 成り立ち:実測データが支える実績
4. 実際の適用例:判断・対応・改善
5. 注意点と補足知識
6. まとめと現場への応用


1. SwRIの振動基準線図とは

SwRIが1980年代に発表したこの図は、配管のピーク変位(mm)と周波数(Hz)を組み合わせて、“疲労破壊のリスク”を評価するための経験則チャートです。

縦軸:振動変位(Peak-to-Peak mm)横軸:振動周波数(Hz)

このグラフに測定データをプロットすることで、配管の揺れが「安全か/危険か」を定量的に把握できます。


2. 4本の評価ラインとその意味

基準線は以下の4つに分類されます。

ライン名

意味

推奨されるアクション

Design

設計目標レベル

安心して運転可能

Marginal

許容レベル(設計内)

点検継続でOK

Correction

許容レベル

詳細調査・振動源対策

Danger

破損限界レベル

即対処・運転条件見直し

📌 特に Danger より大きな振動レベルであれば“要注意”です。配管破損の多くはこの領域で確認されています。

3. 成り立ち:実測データに基づく信頼性

SwRIがまとめたこの図は、石油・ガス・化学プラントなどの約4000件以上の振動事例・破損データをもとに、実務的な「閾値」として設計されました。


  • 振幅が大きい × 周波数が中〜高域(20〜70Hz) → 金属疲労の原因

  • 特に支持点間が長い/剛性が弱い配管(周波数が低周波域:〜5Hz)において、振動変位5mm超で破損率が急増

📊 これらの分析により、「変位 × 周波数」という軸が信頼できる判断ツールとなっています。


4. 実際の適用例:判断・対応・改善

✔ ケース①:30Hz, 0.6mm → Correction領域

30Hz Correction判定の配管診断図例
30Hz Correction判定の配管診断図例
  • 油圧ユニットのリターン配管。定常的に揺れを確認。

  • SwRI図にプロット → Marginal

  • 原因:隣接機器(モーター)の共振

  • 対策:支持方法変更+モーターマウント追加 → Design内へ改善


✔ ケース②:5Hz, 1.2mm → Danger領域

5Hz Danger判定の配管診断図例
5Hz Danger判定の配管診断図例

  • スチームライン。周波数低めながら変位が大きく危険。

  • 計測により「負荷変動時に激しい変位」と判明

  • Ω継手&ルート再設計を実施


5. 注意点と補足知識

SwRI基準線図は便利ですが、万能ではありません。以下のような注意点を押さえて使いましょう。

⚠ 注意点

  • 作成された時代から考えると低炭素鋼による実績です.そのため,Steel系の材料で適用されます(樹脂系などは当てはまりません)

  • 薬品による腐食などの材料腐食は考慮されていません.

  • 外力に対する損傷(工具による傷付き,地震によるダメージ等)は考慮されていません.



まとめ

  • SwRI基準線図は、配管振動の“安全判断”を助ける経験則グラフ

  • 4つのゾーン(Design/Correction/Marginal/Danger)が判断の目安になる

  • 計測 → プロット → 判断 → 対策 という流れを現場で再現可能

  • 他の判断手法との“補完ツール”として使うのがベスト


配管-No.5

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