「振動ってなんだ?」がわかる基本のキホン──周期・振動数・自由振動と強制振動の世界
- Yusuke Yoshihara
- 4月28日
- 読了時間: 4分
更新日:5月15日
はじめに
「配管がカタカタ揺れる」「機械がブルブル震える」──現場で感じるそんな“振動”が、実は理屈で説明できる現象だと知っていましたか?
この記事では、「振動ってそもそも何なのか?」をゼロから解説。周期や振動数ってどんな意味?“自由振動”と“強制振動”の違いは?そんな疑問に、数式と日常例でやさしく答えていきます。
📌この記事はこんな人におすすめ 振動を“感覚”ではなく“数値”で捉えたい 現場での揺れを理屈で理解したい 高校物理から離れて久しいけど、もう一度ちゃんと学びたい
目次
1. 振動とは何か?──基本の定義から
2. 周期・振動数・周波数の関係
3. 自由振動・強制振動・自励振動って?
4. 数式で見る“揺れ”のしくみ
5. 配管に現れる振動とその見かた
1. 振動とは何か?──基本の定義から
振動とは、ある物理的な量が,ある一定値を中心に周期的に値を変えることです。
もっと身近な言葉でいえば、「動いても元の位置に戻ってくるような動き」が振動。たとえば:
ぶらんこ:前後に揺れて、同じ位置を繰り返し通る
ギターの弦:はじいたあとブルブルと揺れながら音を出す
配管の揺れ:ポンプが動くたびに一定の振動が伝わる
これらはすべて、「時間とともに繰り返される運動」です。
2. 周期・振動数・周波数の関係
振動を語る上で避けて通れないのがこの3つの言葉です。
用語 | 意味 | 単位 |
周期(T) | 1回の振動にかかる時間 | 秒(s) |
振動数あるいは周波数(f) | 1秒間に何回揺れるか | ヘルツ(Hz) |
この2つはこんな関係式でつながります:

つまり、1回の揺れに時間がかかればかかるほど、1秒あたりの回数は減るということ。
📌例:1秒で1往復する振動 → 周期 T = 1s、周波数 f = 1Hz
📌例:0.01秒で1往復する → 周期 T = 0.01s、周波数 f = 100Hz
この関係を知っているだけで、「揺れの速さ」が数字で理解できるようになります。
3. 自由振動・強制振動・自励振動って?
次に、どんな原因で揺れているのか?によって、振動は3つに分類されます。
✅ 自由振動(じゆうしんどう)
一度力を加えて「そーっと」と離したら、自分の性質で勝手に揺れ続けるもの。
例:
ギターの弦を弾いた後の音
工場で停電後に揺れ続ける配管
これは外力が働かない状態での“固有の揺れ”です。
✅ 強制振動(きょうせいしんどう)
外部からずっと力を加えられて揺れている状態。
例:
モーターの回転が伝わって揺れている配管
エンジンの振動が車体に伝わる
外からの「周期的な力」に合わせて揺れているのが強制振動です。
✅ 自励振動(じれいしんどう)
外からの力が“振動を自ら作り出す”ような特殊なパターン。
例:
特定のバルブがカタカタ震える(流れの中で振動が増幅される)
航空機のフラッター
4. 数式で見る“揺れ”のしくみ
物理では、シンプルな振動はバネと重りのモデルで説明します。
📐モデル:バネに吊るされた質量
基本式:

m:重さ(質量)
k:バネの硬さ(剛性)
x:揺れの変位
:加速度
この式から、振動の固有振動数(自然に揺れる速さ)は次のように計算できます。

ごめんなさい。数式って抵抗ある方も多いですよね。
私もそうです。
しかし,この式「だけ」は頭の片隅に残しておいてください。
そして,この式の示す意味として,次の2個だけセットにしておいてください。
振動成分とは,バネの硬さ(k)と重さ(m)によって決定する。
要するに…
バネが硬い(剛性が高い) → 早く揺れる(高周波)
重りが重い(質量が大きい) → ゆっくり揺れる(低周波)
🎯この式は配管にも応用できます。振動を見たとき「質量」「剛性」のバランスを見ることで、どこが弱いのかが見えてきます。
5. 配管に現れる振動とその見かた
たとえば、以下のような配管の状態を考えてみましょう。
📌 ケース1:サポートが弱くてグラつく
剛性が小さい → 固有振動数が下がる
モーターの低周波振動と一致して共振が起きやすい
📌 ケース2:保温材の中でサポートが外れている
一見問題なさそうでも、中で「自由振動」している可能性あり
「カタカタ音が止まらない」「夜にだけ揺れる」などの現象はこれが原因かも
📌 ケース3:蒸気配管でバルブ周辺が異音
流体の力が一定周期で振動を生み出している(自励振動の可能性)
キャビテーション・乱流・圧力変動などが関与
💡 振動は“揺れている場所”より、“揺らしている力”を見るのが本質です。
まとめ
振動とは、「時間とともに繰り返される動き」。そしてそれは、数値や式で予測・分析できる現象です。
🔑 この記事の3つのポイント:
振動は「周期」や「振動数」で定量的に捉えられる
振動のタイプ(自由/強制/自励)は原因の見極めに重要
振動成分とは,バネの硬さ(k)と重さ(m)によって決定する
振動-No.2
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