保全の話

事後保全/予防保全/予知保全とは?──壊れる前に守る技術と考え方

Mon May 26

事後保全/予防保全/予知保全とは?──壊れる前に守る技術と考え方

はじめに

「壊れてから直すのが当たり前」だった設備保全は、近年大きく変わってきています。"壊れる前に守る"ための考え方や技術が進化し、現場では予防保全や予知保全といった言葉が一般化してきました。

この記事では、「事後保全/予防保全/予知保全って何が違うの?」という疑問に答えながら、それぞれの保全スタイルの特徴と、どのように使い分けていくべきかをわかりやすく整理します。

例として、家庭の水道トラブルや自動車の整備など、身近な話も交えながら解説していきます。

1. そもそも「保全」とは?

保全(メンテナンス)とは、設備や機械を壊れないように維持管理する活動全般を指します。

📌 目的は「故障の防止」「製品品質の維持」「安全の確保」など。

保全には、いくつかの方針(方式)があります。それが今回のテーマである、「事後保全・予防保全・予知保全」です。

2. 3つの保全方式の違い

保全方式特徴メリットデメリット
事後保全壊れてから修理計画不要・シンプル故障時に生産停止、事故リスク大
予防保全壊れる前に定期交換安定運用・標準化しやすい交換タイミングが早すぎる可能性も
予知保全状態をモニタリングして必要な時だけ保全最適なタイミング・コスト削減計測・判断に手間と技術が必要

事後保全(Breakdown Maintenance)

まさに「壊れてから直す」。昔ながらのスタイルですが、実は一部の設備では今も有効です。

例)家庭の蛇口がポタポタ漏れた → 漏れがひどくなってから交換

例)照明が切れてから交換する

予防保全(Time-based Maintenance)

あらかじめ決めた時間や使用回数で交換・整備を行います。

例)自動車のオイル交換(5000kmごと)

例)家庭用エアコンの年1回の点検

劣化の兆候がなくても交換するので、余裕を持った対応が可能ですが、まだ使える部品を捨てることにもなるため、コスト効率はやや低いです。

予知保全(Condition-based Maintenance)

センサーや振動計測などを活用して、"状態の変化"から劣化を予測し、必要なときにだけ保全します。

例)車のエンジン異音 → 点検アラート → 故障前に整備

例)ポンプの振動が基準値を超えたのでメンテ実施

最も理想的ですが、状態を"見える化"するツールや判断技術が必要です。

3. 現場での使い分けとハイブリッド運用

すべての設備で予知保全ができるわけではありません。運用コスト、設備の重要度、トラブルの影響度などをふまえ、組み合わせて運用します。

使い分けの目安

  • 重要設備・故障時の影響が大きいもの → 予知保全
  • 安価な部品・交換が簡単なもの → 予防保全
  • 使用頻度が低く、壊れてもすぐ直せるもの → 事後保全

ハイブリッド運用の実例

🔧 工場の冷却水ライン

  • ポンプは振動センサー付きで予知保全
  • バルブは定期的な予防保全
  • 照明は事後保全

このように、保全は「一律ではなく最適化が重要」ということが現場のキーポイントです。

4. 身近な例で理解する保全方式

家庭の水道トラブル

保全方式
事後保全蛇口が水漏れしてから修理
予防保全年1回、水道業者が点検・部品交換
予知保全水圧センサーで異常値を検知して連絡

自動車の整備

保全方式
事後保全タイヤがパンクしてから交換
予防保全走行距離に応じたバッテリー交換
予知保全センサー異常 → ダッシュボードに警告表示

"いつ・どこで・どんな保全をするか"の選択が、リスクとコストに直結します。

まとめ

✅ ポイントの整理

  • 事後保全:壊れてから対応する
  • 予防保全:決まった周期で交換・点検
  • 予知保全:状態を監視して必要なときに対応

✅ どの方式が正解?

設備の重要度・影響度・管理コストに応じて組み合わせることが重要。また、予知保全は"魔法の杖"ではなく、継続的な改善と判断技術がカギになります。

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