配管の話

配管の耐震化

Mon Sep 15

配管の耐震化

効果がある配管・注意すべき箇所・具体的な対策事例

はじめに

工場やプラントにおいて、配管は血管のように流体を運ぶ重要な設備です。しかし、地震によって配管が破損すれば、生産停止・火災・漏洩事故といった深刻な被害につながります。

では、すべての配管を同じように耐震補強すればよいのでしょうか?

実際には、地震の揺れ方と配管の特徴によって「壊れやすい部分」と「そうでない部分」が分かれます。

この記事では、

  • 耐震化が特に有効な配管の種類
  • 気をつけるべき箇所と設計・点検の着眼点
  • 具体的な対策事例

を解説し、現場で使える"実践的な耐震化の視点"をお届けします。

1. 配管の耐震化が必要な理由

  • 地震動による配管破損は、直接的な損傷(破断・漏洩)だけでなく、二次災害(火災・爆発・有害物質流出)につながる。
  • 実際の地震被害調査では、ポンプ・タンクに接続する配管、フランジ部、支持金具の破断が目立つ。
  • 耐震化は「すべての配管を守る」のではなく、リスクが大きい部分を重点的に補強することが効果的。

2. 耐震化の効果が大きい配管の特徴

特に耐震対策が有効なのは以下のような配管です。

内部流体別

  • 高圧・高温配管(蒸気ライン・高圧ガス配管)→ 破損時の被害が大きい。
  • 危険物を輸送する配管(可燃性液体・薬液)→ 漏れ=環境汚染・爆発事故につながる。

構造的特徴

  • 長尺・高所に設置された配管 → 揺れによる変位が大きく、支持点に集中荷重がかかる。
  • タンクや機器接続部 → 剛性の差により応力集中しやすい。

📌 身近な例で言うと、自宅の給湯器の接続部(ゴムホースや銅管)が揺れで緩むイメージに近いです。

3. 地震で弱点になりやすい配管構造

地震時に特に壊れやすいのは次の部分です。

  • フランジ部:ガスケットのずれ、ボルトの緩み
  • 曲がり部(エルボ):揺れの変位差による応力集中、き裂
  • 支持点周辺:片側が外れると振れ幅が増大
  • 溶接部:経年劣化で強度低下している部分

🛠️ 点検時のコツ

  • サポートがしっかり機能しているかを"揺らして確認"
  • フランジや溶接部の変色・にじみは要注意サイン

4. 具体的な耐震化の対策例

設計・施工段階での対策

  • フレキシブル継手(伸縮継手)で揺れを吸収
  • サポートの追加・補強で変位を抑制
  • 配管ルートの工夫(直線ではなくL字やU字を入れる)で柔軟性を確保

既設配管への後付け対策

  • 耐震クランプの追加設置
  • サポート間隔の調整(揺れやすいスパンを短くする)
  • 免震・防振材の使用(ゴム・バネで衝撃を逃す)

点検・保全面での対策

  • 定期的なボルト締付確認
  • サポート・ブラケットの腐食点検
  • 振動計や変位センサーによる常時モニタリング

5. よくある誤解と注意点

  • 「配管をガチガチに固定すれば安全」→ 実際は柔軟性を持たせた方が壊れにくいケースも
  • 「小口径だから大丈夫」→ 小さくても薬液や可燃物なら漏洩リスクは大きいまま変わらない。
  • 「一度補強したから安心」→ サポートやボルトは劣化や腐食で機能低下するため定期点検が必須。

まとめ

  • 配管の耐震化は「全部やる」よりもリスクの高い部分に集中するのが効果的。
  • 特に高圧・危険物・長尺・接続部は重点的に補強する価値がある。
  • 設計・施工・保全の各段階で揺れを逃がす工夫を取り入れることが重要。
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