配管の話

フランジ漏れの意外な原因と防ぐコツ

Thu Jul 03

フランジ漏れの意外な原因と防ぐコツ

ボルトを締めても止まらない?

1. はじめに:フランジ部の漏れは"誤解されがち"

配管トラブルの中でも、「フランジ部からの滲み」「ガスケットからの吹き出し」などは頻出です。そしてそれを見た人の多くが、まずこう考えます:

「ボルト、緩んでるんじゃない?増し締めしよう!」

でも、実はこれが間違った対処で状況を悪化させることもあるのです。

今回は、フランジ漏れの仕組み、ありがちな原因、正しい対処法を解説しつつ、現場での点検と予防のコツまでご紹介します。

2. フランジからの漏れの"仕組み"

フランジとは、配管をつなぐための「板状の継手」で、ガスケットを挟んでボルトで締結する構造です。

本来の密封メカニズムは:

  • ガスケットが適切な荷重で均等に圧縮されている
  • 配管自体が無理な力を受けていない(応力なし)
  • フランジを挟んでナックルしていない

この条件が崩れると、以下のような漏れが発生します:

漏れパターン原因の一例
ガスケット周囲からのにじみ圧縮不均一/材料劣化/低荷重
ボルト近傍からのピン漏れ締付け不足/片締め/過大荷重による破断
使用中の急激な噴き出し応力ゆがみ/熱膨張差/振動影響

3. "増し締め"が効かない本当の理由

「漏れてる!締めればいいじゃん」は危険。

● なぜ?:ガスケットは"潰す限度"がある

ガスケットは、ある一定の荷重で潰れることを前提に設計されています。これを超えると:

  • ガスケットが破壊されて逆に密閉力が下がる
  • ボルトが伸びて応力が抜ける(締付けが無効になる)
  • フランジ面が永久変形(歪み)して密閉できなくなる

つまり、増し締めは"最後の手段"であり、万能ではないのです。

4. フランジ漏れの"原因トップ3"

✅ ① 締付け荷重のばらつき

  • ボルト本数が多いフランジほど、手締めでムラが出やすい
  • 特に対角順締めを怠ると密封力に偏りが出る

📌 トルク管理は人任せにせず、トルクレンチでしっかり確認。

✅ ② ガスケットの劣化・選定ミス

  • 高温・高圧・化学腐食環境で材料選定ミスが多発
  • 古いガスケットを再利用している現場もある(NG!)

📌 特にフッ素系流体・高温蒸気では、汎用パッキンはNGなことも。

✅ ③ 配管そのものの応力ゆがみ

  • 配管が強引に取り付けられていた(初期ゆがみ)
  • 温度差・振動でフランジ面が引っ張られた

📌 フランジに手を当てて振動していたら要注意。定盤で面を測ると曲がっていることも。

5. 現場でできるチェックと予防策

● 漏れチェックのポイント

  • フランジ部に"にじみ"がないか(白い粉や油跡が出る)
  • 周囲に液体痕・水滴・変色がないか
  • 振動や熱変化で一時的な漏れが出ていないか

📌 運転直後と数時間後で比較すると変化が見えることも。

● 予防のためにやるべきこと

対策内容
トルク管理の徹底対角締め・段階締めを明示し、トルク表を現場掲示
ガスケットの適正化温度・圧力・流体性状に合った材質選定(メーカー仕様書確認)
配管応力の確認設計時のストレスチェック+現場での"手応え"確認
漏れ痕の定期観察視認+触感+サーモカメラ等で"兆候"を見る習慣

6. まとめ:フランジ漏れは"構造の問題"でもある

✅ ポイント再確認

  • 漏れの多くは締付け不良か材料劣化に起因
  • 増し締めは万能ではないどころか破壊を進めることも
  • トルク・ガスケット材・配管の応力状態をトータルで考える
  • "兆候を見る目"と"締めない判断"が保全力
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