SOMEQUIPって何ができるの?
はじめに
「ポンプの音がなんかおかしい気がする……でも、交換するほどなのかどうかわからない」
現場の保全担当者から、こういう声をよく聞きます。感覚として「異常かも」と気づいていても、それを数値で示す手段がなければ、判断も対策も後手に回りがちです。
SOMEQUIPは、そのギャップを埋めるために開発しました。スマートフォン1台で、ポンプ・モーター・圧縮機などの回転機械の振動を計測し、国際規格ISO 20816シリーズに基づいた評価を自動で出力できるアプリです。
この記事では、SOMEQUIPとは何か・何ができるのか・なぜ必要なのかを、第1回としてわかりやすく紹介します。
💡 この記事で得られること
- SOMEQUIPの基本概要と対象設備の範囲
- なぜISO 20816を基準に採用したのか、その背景
- 無料でどこまで使えるか、機能の全体像
1. SOMEQUIPってどんなアプリ?
SOMEQUIPは、iPhoneに内蔵された加速度センサーを使って、回転機械の振動速度(mm/s RMS)を測定・評価するiOS専用アプリです。
対象となる機械は以下のとおりです。
| 対象設備 | 代表例 |
|---|---|
| ポンプ | 渦巻きポンプ、プランジャーポンプ |
| モーター | 誘導モーター、ブラシレスモーター |
| 圧縮機 | スクリュー圧縮機、レシプロ圧縮機 |
| ファン・送風機 | 遠心ファン、軸流ファン |
| 歯車装置 | 減速機、増速機 |
1回の測定はわずか10秒ほど。結果はゾーン評価(A〜D)でわかりやすく表示され、PDFレポートの出力も可能です。アプリは無料・登録不要でApp Storeからダウンロードできます。
2. なぜ今、SOMEQUIPが必要なのか
回転機械の振動管理は、多くの現場でまだ「感覚」に頼っています。
よくあるのが、こんなケースです。
設備を巡回中、ポンプのそばに立ったとき、「なんか振動が強くなった気がする」と感じる。でも、測る手段がないからそのままにしておく。その2か月後、ベアリングが破損して設備が停止——こうしたパターンは珍しくありません。
問題の核心は3つあります。
- 専用の振動計は高価(数十万〜数百万円)で、中小現場には導入しにくい
- 測定・解析に専門知識が必要で、担当者が変わると引き継げない
- 点検はあっても定量記録がないため、劣化の傾向をつかめない
SOMEQUIPは、この3つの壁を一気に下げます。
- スマホだけで計測できるため、初期コストがほぼゼロ
- ISO 20816という国際基準を組み込んでいるため、専門知識なしで判定できる
- PDFレポートを出力できるため、記録と共有が簡単
「保全の民主化」という言葉があります。大企業や専門家だけが使えてきた診断技術を、中小現場でも誰でも使えるようにする。SOMEQUIPはその第一歩として開発しました。
3. なぜISO 20816を採用したのか
SOMEQUIPが振動評価に使っているのは、ISO 20816シリーズです。
ISO 20816は、回転機械の振動評価に関する国際標準規格で、機械の種類や出力に応じて複数のパートに分かれています。評価指標は**振動速度(mm/s RMS)**で、以下の4ゾーンで設備状態を判定します。
| ゾーン | 意味 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| Zone A | 新品・正常範囲 | 定期的な傾向監視を継続 |
| Zone B | 許容範囲内 | 監視継続。変化がないか確認 |
| Zone C | 要注意・早期対策 | 詳細調査と補修計画を立案 |
| Zone D | 危険・即時対応 | 運転停止または緊急補修を検討 |
なぜSOMEQUIPはISO 20816を選んだのか?
SOMPIPE(配管振動診断)ではSwRI評価基準を採用していますが、回転機械にはSwRIは使いません。回転機械の振動評価として国際的に最も広く使われているのがISO 20816系であり、ポンプ・モーター・圧縮機など主要な産業機械が網羅されています。
また、振動速度(mm/s)はエネルギーと直結した物理量であり、「設備がどれだけ激しく揺れているか」の実感と一致しやすい指標です。加速度(m/s²)より直感的に理解しやすく、異なる設備間での比較もしやすいという利点があります。
4. 実際にできること
SOMEQUIPの機能は大きく3つです。
① 振動診断(無料)
- iPhoneの加速度センサーで振動速度(mm/s RMS)を計測
- ISO 20816シリーズに基づくゾーン評価(A〜D)を自動表示
- 対象設備の種類・出力を選択すると閾値が自動で切り替わる
② PDFレポート出力(無料)
- 測定日時・設備名・計測値・評価結果をPDFにまとめて出力
- 点検記録として保存・共有が可能
- 設備管理台帳や報告書への添付にも対応
③ 傾向管理(将来実装予定)
- 複数の測定ポイントをログとして蓄積
- Zone推移のグラフ表示で劣化傾向を可視化
- 「いつから悪くなったのか」を時系列で追えるようになる
5. まとめ:スマホで始める振動管理の第一歩
SOMEQUIPは、回転機械の振動診断を「誰でも・今すぐ・無料で」始められるようにするためのアプリです。
✅ iPhoneだけでポンプ・モーター・圧縮機の振動を計測
✅ ISO 20816に基づいたゾーン判定(A〜D)を自動表示
✅ PDFレポートで現場記録がすぐに残せる
振動診断は「専門家の仕事」というイメージがありますが、スクリーニング(異常の有無を大まかに確認する工程)は、正しいツールと基準があれば現場の誰でもできます。
SOMEQUIPは、その「スクリーニング」をスマホで実現することを目指しています。次回以降の連載では、実際の使い方や評価基準の詳細、PDFレポートの活用法などを具体的に解説していきます。
📌 この記事のポイント3つ
- SOMEQUIPはiPhoneで回転機械の振動を計測し、ISO 20816でゾーン評価するアプリ
- 感覚頼りの保全から脱却するための「数値化」「標準化」「記録化」が3つの柱
- 無料・登録不要で今すぐApp Storeからダウンロードして使い始められる
💡 明日から現場でできること
- App StoreからSOMEQUIPをダウンロードしてポンプ1台で試してみる
- 現状のゾーン(A〜D)を記録し、来月と比較する基準を作る
- PDFレポートを1枚出力して、点検記録の代わりに使ってみる