SOMEQUIP 開発ストーリー

SOMPIPEとSOMEQUIPの使い分け─配管と回転機械、何が違う?

Fri Mar 20

SOMPIPEとSOMEQUIPの使い分け─配管と回転機械、何が違う?

はじめに

「SOMPIPEとSOMEQUIP、どっちを使えばいいの?」

SOMの2つのアプリについて、最も多くいただく質問がこれです。どちらも「振動診断アプリ」と言えますが、対象設備・評価基準・評価指標のすべてが異なります。用途を間違えると、正しい評価が得られません。

この記事では、2つのアプリの違いを整理し、現場での使い分けの判断基準を明確にします。

💡 この記事で得られること

  • SOMPIPEとSOMEQUIPが根本的に何を診断するアプリなのか、その違いの本質
  • 評価基準・指標・対象設備の具体的な比較
  • 「どっちを使えばいい?」という疑問に答える、現場別の選択ガイド

1. 結論から言う:「何を診たいか」で選ぶ

まず、端的に言います。

  • 配管の振動が心配SOMPIPE
  • ポンプ・モーター・圧縮機などの機械本体が心配SOMEQUIP

この2つの違いは、「測定対象が配管か、回転機械か」という根本的な分類に基づいています。

現場の設備は、大きく「配管系統(パイプライン)」と「回転機械本体(ポンプ、モーター等)」に分けられます。それぞれで「何が問題か」「どんな故障モードがあるか」「どの基準で評価するか」がまったく異なります。

2. 2つのアプリの比較

2.1 主要な違いを一覧で見る

比較項目SOMPIPESOMEQUIP
診断対象配管・パイプ・ダクトポンプ・モーター・圧縮機・ファン・歯車装置
評価基準SwRI(Southwest Research Institute)評価線図ISO 20816シリーズ
評価指標振動変位(μm)+周波数(Hz)振動速度(mm/s RMS)
評価の軸変位と周波数の2次元評価速度の単一指標(ゾーン判定)
ゾーン区分Design / Marginal / Correction / DangerZone A / B / C / D
PDFレポートなし(現在)あり
主な想定リスク疲労破断・共振・振動伝播ベアリング損傷・アンバランス・ミスアライメント

2.2 評価指標が違う理由

SOMPIPEが変位(μm)×周波数(Hz)の2次元評価をするのは、配管の疲労破断リスクをとらえるためです。

配管で問題になるのは「振れ幅が大きく、かつ振動が繰り返される」状態です。変位(どれだけ揺れているか)と周波数(どれだけ速く繰り返すか)の組み合わせで、疲労損傷のリスクが決まります。SwRI線図は、この組み合わせを1つのグラフ上でプロットして評価するための基準です。

SOMEQUIPが速度(mm/s RMS)の単一指標を使うのは、回転機械の健全性評価に適しているためです。

回転機械で問題になるのは「ベアリングや軸が受ける動的な力の大きさ」です。振動速度はエネルギーと直結しており、「設備がどれだけ激しく動いているか」を周波数によらず安定して表現できます。ISO 20816がこの指標を採用しているのも、この理由によります。

3. 現場別の使い分けガイド

3.1 「配管から異音・振動が気になる」

SOMPIPE

配管本体(直管部・エルボ・フランジ付近)の振動が気になる場合は、SOMPIPEを使います。SwRI線図の評価で、その配管が「安全設計ゾーン内か」「修正が必要か」を判定します。

よくあるのが、こんなケースです。配管の近くを歩くたびに「ガタガタ」という振動を感じる。目視では問題がなさそうだが、溶接部や継手部分が心配——こういった状況で、SOMPIPEを当てて振動変位を確認します。

3.2 「ポンプ・モーターが異常に熱くなった、音がおかしい」

SOMEQUIP

回転機械本体のトラブルサインが出ている場合は、SOMEQUIPを使います。振動速度と ISO 20816のゾーン判定で、設備の状態を評価します。

典型的なのは、ポンプの運転音がこれまでと違う・振動が大きくなった気がする、という場面です。SOMEQUIPでベアリングハウジング付近を計測し、ゾーンを確認します。Zone C以上であれば、詳細診断や部品交換を検討する段階です。

3.3 「ポンプが原因で配管が揺れている」

両方を使う

機械の振動が配管に伝播している場合は、両方のアプリを使うことで全体像がつかめます。

ステップ1(SOMEQUIP): ポンプ本体の振動速度を計測し、機械の状態を評価する。

ステップ2(SOMPIPE): ポンプに接続されている配管の振動変位を計測し、配管への影響度を評価する。

機械自体がZone BでもSwRI基準でMarginal(要修正)の振動が配管に伝わっている場合は、支持追加や防振対策が有効です。逆に機械がZone Cでも配管変位が設計範囲内であれば、配管リスクは低いと判断できます。

3.4 「何を測れば良いかわからない」

設備の構成を見て判断する

現場の設備が「ポンプ本体」なのか「配管」なのかが曖昧に感じる場合は、次の視点で整理してください。

「心配な場所」のイメージ使うべきアプリ
管が揺れている・管から音がするSOMPIPE
回転している機械が熱い・うるさい・振動が強いSOMEQUIP
両方が気になる両方

4. よくある誤用パターン

4.1 ポンプにSOMPIPEを当てる

SOMPIPEを回転機械本体(ポンプのモーター部など)に当てて使う方がいますが、これは適切ではありません。

SwRI評価線図は配管の疲労破断リスクを評価するための基準であり、回転機械の状態評価には対応していません。ポンプ本体の振動が大きくてもSwRI基準では「問題なし」と判定されてしまう場合があります。

ポンプ本体はSOMEQUIP(ISO 20816)で評価してください。

4.2 配管にSOMEQUIPを当てる

SOMEQUIPを配管に当てることも技術的には可能ですが、評価基準が合いません。

ISO 20816は回転機械向けの基準であり、配管の許容振動値と対応していません。配管の振動はSOMPIPEとSwRI線図で評価するのが適切です。

5. まとめ:「何を診たいか」が選択の軸

SOMPIPEとSOMEQUIPは、どちらも「振動診断アプリ」ですが、異なる問題を解くために設計されています。

  • SOMPIPE: 配管の疲労破断リスクをSwRI線図(変位×周波数)で評価
  • SOMEQUIP: 回転機械の状態をISO 20816(振動速度)で評価

現場では両方の設備が混在していることがほとんどです。「ポンプが振動して配管にも影響している」という状況では、両アプリを使い分けることで、リスクの全体像が見えてきます。

📌 この記事のポイント3つ

  1. 診断対象が「配管」ならSOMPIPE(SwRI線図)、「回転機械」ならSOMEQUIP(ISO 20816)
  2. 評価指標が異なる(変位μm vs 速度mm/s)ため、アプリを入れ替えて使っても正しい評価にならない
  3. 機械振動が配管に伝播している場合は両方を使うことで全体像が把握できる

💡 明日から現場でできること

  • 現場の設備リストを「配管系統」と「回転機械」に分類してみる
  • 今一番気になる設備が配管か機械かを決め、対応するアプリで計測する
  • 両方が心配な場合は、機械→配管の順で計測して結果を比較してみる

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