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ピンホールって何?配管にできる小さな穴の正体と対策

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 6月26日
  • 読了時間: 3分

油も水もスーッと漏れる…


1. はじめに:液漏れの“静かな犯人”


配管トラブルの代表格といえば「漏れ」。その中でも特にやっかいなのが、目視で確認しにくい極小の穴=ピンホールです。

「え、たった1mm以下の穴でそんなに問題?」と思うかもしれません。でもこの小さな傷口が、いつの間にか:

  • 生産ロスを生む液漏れ

  • 装置の誤動作

  • 薬液や油による汚染事故

へと発展するケースは多くあります。

今回はそんな「ピンホール」の正体と、なぜ起きるのか、どう対処すればいいのかを、やさしく・深く解説します。


2. ピンホールとは何か?:その定義と特徴


● ピンホール=極小の腐食・損傷穴

ピンホールとは、以下のような特徴をもつ配管表面の“点状の穴”です:

  • 穴径は0.1〜2mm程度が多い

  • 初期段階では肉眼では気づきにくい

  • 放置すると中から漏れがジワジワ始まる

📌【イメージ】画鋲で紙を刺したようなサイズ感。だが液体はそこから普通に漏れる。

3. ピンホールが発生するメカニズム


主に3つの要因が関わっています:

① 局部腐食(点腐食)

ステンレスや銅管などの材料でも、表面に局所的な腐食が起きることで穴が開きます。とくに塩素イオン(Cl⁻)や酸性雰囲気があると要注意。

② 内圧応力と疲労

長期間、内部圧力がかかった状態で繰り返し応力がかかると、微細なクラック(割れ)が進展してピンホールに至ります。

③ 外的ダメージ+経年劣化

支持金具と擦れたり、外部から小石や工具が当たったりしてできた微小な傷が劣化で穴に育つパターンも。


4. よくある“発生場所”と“兆候”


ピンホールが起きやすい場所

発生箇所

理由

ドレン溜まり部

水分・薬液が滞留しやすい

絶縁不良の金属接合部

異種金属接触で電蝕が起きやすい

サビがある表面下

見えないところで腐食が進行

屋外の露出配管

雨水・塩害・紫外線など複合劣化

兆候の見分け方

  • 配管に濡れている部分がある(が液体の流れが確認できない)

  • 配管周囲の埃が妙に湿っている or 変色している

  • 圧力がじわじわ下がるが、目視で漏れが見つからない


5. 現場での対策と対応


● 予防策

保温・防水を徹底する水分や薬液が“溜まらない構造”にすること。断熱材も吸水しないタイプを。

電気的絶縁を意識する異種金属の接触部には絶縁スリーブやガスケットを使用。

定期的な非破壊検査を取り入れるサーモグラフィ、肉厚測定、染色浸透探傷(PT)など。

配管材の選定を現場条件に合わせるSUSでも塩素系には弱い。PVC、PPなど非金属材料のほうが良い場合も。

● 起きた場合の応急処置

対応

メリット

注意点

耐油テープ・エポキシで塞ぐ

短期運転継続できる

長期放置は危険

クランプバンドで一時補修

即応性が高い

他部位への応力集中が増す

部分交換(ソケット+パイプ)

確実・安全

作業時間とコストは大きい


6. ピンホールを“検知する”ためのチェックリスト


点検で見逃しがちなピンホール。「兆候を読む目」を鍛えることが保全のキモになります。

📋 点検者のための5つの質問

  1. この場所、結露しやすいところでは?

  2. この管、部分的に温度が違うところは?

  3. 過去にここの管が汗をかいていた記憶は?

  4. 周辺の壁や床に変色はないか?

  5. 圧力計が下がっているのに漏れが見つからないか?


7. まとめ:小さな穴が生む大きな損失


✅ 要点まとめ

  • ピンホールは局部腐食や応力劣化の結果として起こる

  • 目視しにくく、“変化の兆候”を見抜く力が重要

  • 応急処置はできても、根本対応(交換)を忘れずに

  • 保温・配管材選定・非破壊検査など予防的保全が効果的


配管7

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