現場で試せる!スマホで簡単「振動診断」のやり方
- Yusuke Yoshihara
- 7月16日
- 読了時間: 4分
はじめに
前回の記事では、SOMPIPEが“振動診断を工具化する”アプリであることを紹介しました。今回はその続編として、実際にSOMPIPEを使って振動を測定する方法を、具体的に解説していきます。
「どこを測ればいいの?」「測定時間はどのくらい?」「どう持てばブレない?」といった、初めての人がつまづきやすいポイントも含めて、現場で“今日から試せる”振動診断の手順とコツを紹介します。
スマホひとつでできるSOMPIPE測定。まずはトライして、“感覚の診断”から“数値の判断”へ、一歩踏み出してみましょう。
目次
測定準備:何が必要?どこで測る?
基本操作:アプリの使い方ステップ解説
測定ポイントの選び方と注意点
結果の見方:グラフと数値の読み取り方
よくあるミスと改善ポイント
まとめ:振動診断の“クセ”を体で覚える
1. 測定準備:何が必要?どこで測る?
▶ 用意するものは?
スマートフォン(iOS対応、振動センサー内蔵機種)
SOMPIPEアプリ(App Storeから無料DL)
マグネットスマホスタンド(配管取り付け用)
まずはこれだけでOKです。外部センサーや装置は一切不要です。
▶ 測定対象の例
配管や架台(振動が伝わる場所)
※一般設備にも使用できますが,評価基準で配管振動基準を使用しています
2. 基本操作:アプリの使い方ステップ解説
SOMPIPEでの基本的な測定の流れは以下のとおりです。
✅ 測定の基本ステップ(所要時間:約1分)
ステップ | 操作内容 | 補足 |
① 起動 | アプリを起動 | |
② 測定準備 | スマホを配管に取り付ける | 計測箇所にUボルト+プレートを設置し,マグネットスマホスタンドで設置する |
③ 測定開始 | 「測定開始」ボタンを押す | 計測時間は10秒 |
④ 結果表示 | 数値・波形が自動で表示される | 評価ランク(例:OK/注意/異常)付き |
結果画面では、変位(μm)や加速度(G)などの指標に加え、色分け評価(青/緑/黄/赤)で状態が一目でわかる設計です。
3. 測定ポイントの選び方と注意点
▶ 測る場所はどこがいい?
測定対象 | おすすめ測定ポイント |
配管 | 機器接続付近/エルボ/振動を感じる場所 |
📎 ヒント:異常が出やすいのは「ねじれ・偏心・摩耗」が起こりやすい部位です。普段、点検で「手で触れていた場所」と同じ感覚で測定してみてください。
▶ 注意点:ブレやすい測定を避ける
以下のような点に注意しないと、誤測定や過大評価になってしまうことがあります。
NG例 | 改善ポイント |
スマホがグラグラしている | 手のひら全体でしっかり保持する |
手袋が厚すぎて不安定になる | 薄手の手袋 or 滑り止めケースを使う |
測定中に手が震えてしまう | 設備に肘をつけて安定させる |
設備に直接あたっていない | 「触れているだけ」ではなく軽く押し当てる |
🛠 ワンポイント:測定中はスマホを触らない。この一言だけで精度がかなり上がります。
4. 結果の見方:グラフと数値の読み取り方
測定結果には2つの情報があります。
① 振動レベル(ピーク)
変位:μm
判定はSwRI基準線と照らし合わせ最大位置を判定
Danger(一番危険側のライン)からの乖離率を算出

SOMPIPE 変位評価画面
📘 参考:SwRIでは、変位ー周波数グラフが基本の指標
② 波形グラフ(タイムドメイン)
振動の強さ・周期性が見える
「ガタつき」「衝撃」「乱れ」などが視覚化される
3軸それぞれでピーク値とRMS値を算出

SOMPIPE 加速度評価画面
👀 例:突発的なピークがあれば、ベアリングの損傷などが疑われます。
5. よくあるミスと改善ポイント
ミス例 | よくある原因 | 改善ポイント |
結果が毎回バラバラになる | 測定位置や押し当て方が一定でない | 毎回同じ場所・姿勢で測る |
「異常」と出たけど原因がわからない | グラフの見方に慣れていない | FFT・波形を見てパターンを学ぶ |
安定してるのに数値が高く出る | 共振点やスマホのブレが影響している | 測定位置を少し変えて再測定する |
測定中にアラームが鳴って中断された | スマホの通知/通話が作動 | 測定中は通知OFF/機内モード推奨 |
📌 注意:測定時は「触らない!」。これが何より大事です。
6. まとめ:振動診断の“クセ”を体で覚える
SOMPIPEによるスマホ診断は、以下のような「保全の新習慣」を生み出す可能性を持っています。
いつもの設備を、数値で見る視点が身につく
感覚で判断していた異常に、客観的な根拠が加わる
1回10秒の診断が、未来のトラブルを防ぐ一歩になる
初めは数値に戸惑うこともあるかもしれませんが、慣れることで“自分なりの指標”が見えてきます。まさに“使って覚える工具”として、SOMPIPEを活用してみてください。
SOMPIPE-2




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