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事後保全/予防保全/予知保全とは?──“壊れる前”に守る技術と考え方

  • 執筆者の写真: Yusuke Yoshihara
    Yusuke Yoshihara
  • 5月26日
  • 読了時間: 4分

はじめに

「壊れてから直すのが当たり前」だった設備保全は、近年大きく変わってきています。“壊れる前に守る”ための考え方や技術が進化し、現場では予防保全予知保全といった言葉が一般化してきました。

この記事では、「事後保全/予防保全/予知保全って何が違うの?」という疑問に答えながら、それぞれの保全スタイルの特徴と、どのように使い分けていくべきかをわかりやすく整理します。

例として、家庭の水道トラブルや自動車の整備など、身近な話も交えながら解説していきます。


目次

  1. そもそも「保全」とは?

  2. 3つの保全方式の違い

  3. 現場での使い分けとハイブリッド運用

  4. 身近な例で理解する保全方式



1. そもそも「保全」とは?

保全(メンテナンス)とは、設備や機械を壊れないように維持管理する活動全般を指します。

📌 目的は「故障の防止」「製品品質の維持」「安全の確保」など。

保全には、いくつかの方針(方式)があります。それが今回のテーマである、「事後保全・予防保全・予知保全」です。


2. 3つの保全方式の違い

保全方式

特徴

メリット

デメリット

事後保全

壊れてから修理

計画不要・シンプル

故障時に生産停止、事故リスク大

予防保全

壊れる前に定期交換

安定運用・標準化しやすい

交換タイミングが早すぎる可能性も

予知保全

状態をモニタリングして必要な時だけ保全

最適なタイミング・コスト削減

計測・判断に手間と技術が必要

◼️ 事後保全(Breakdown Maintenance)

まさに「壊れてから直す」。昔ながらのスタイルですが、実は一部の設備では今も有効です。

例)家庭の蛇口がポタポタ漏れた → 漏れがひどくなってから交換例)照明が切れてから交換する

◼️ 予防保全(Time-based Maintenance)

あらかじめ決めた時間や使用回数で交換・整備を行います。

例)自動車のオイル交換(5000kmごと)例)家庭用エアコンの年1回の点検

劣化の兆候がなくても交換するので、余裕を持った対応が可能ですが、まだ使える部品を捨てることにもなるため、コスト効率はやや低いです。


◼️ 予知保全(Condition-based Maintenance)

センサーや振動計測などを活用して、“状態の変化”から劣化を予測し、必要なときにだけ保全します。

例)車のエンジン異音 → 点検アラート → 故障前に整備例)ポンプの振動が基準値を超えたのでメンテ実施

最も理想的ですが、状態を“見える化”するツールや判断技術が必要です。


3. 現場での使い分けとハイブリッド運用

すべての設備で予知保全ができるわけではありません。運用コスト、設備の重要度、トラブルの影響度などをふまえ、組み合わせて運用します。

◼️ 使い分けの目安

  • 重要設備・故障時の影響が大きいもの → 予知保全

  • 安価な部品・交換が簡単なもの → 予防保全

  • 使用頻度が低く、壊れてもすぐ直せるもの → 事後保全

◼️ ハイブリッド運用の実例

🔧 工場の冷却水ライン→ ポンプは振動センサー付きで予知保全→ バルブは定期的な予防保全→ 照明は事後保全

このように、保全は「一律ではなく最適化が重要」ということが現場のキーポイントです。


4. 身近な例で理解する保全方式

◼️ 家庭の水道トラブル

事後保全

蛇口が水漏れしてから修理

予防保全

年1回、水道業者が点検・部品交換

予知保全

水圧センサーで異常値を検知して連絡

◼️ 自動車の整備

保全方式

事後保全

タイヤがパンクしてから交換

予防保全

走行距離に応じたバッテリー交換

予知保全

センサー異常 → ダッシュボードに警告表示

“いつ・どこで・どんな保全をするか”の選択が、リスクとコストに直結します。


まとめ

✅ ポイントの整理

  • 事後保全:壊れてから対応する

  • 予防保全:決まった周期で交換・点検

  • 予知保全:状態を監視して必要なときに対応

✅ どの方式が正解?

設備の重要度・影響度・管理コストに応じて組み合わせることが重要。また、予知保全は“魔法の杖”ではなく、継続的な改善と判断技術がカギになります。


保全ーNo.7

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