振動測定手法の全体像:定期測定とシステム監視──目的とコストで選ぶ最適な測定方法
- 2 日前
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はじめに
「振動測定をしたい」と考えたとき、最初に決めるべきは「どんな測定器を使うか」ではなく、「人が測りに行くか、システムに任せるか」です。
この選択が、その後の投資規模や運用方法を大きく左右します。数万円のハンディ振動計で十分な設備もあれば、数百万円のシステム監視が必要な設備もあります。
測定の目的・設備の重要度・予算に応じて、最適な手法を選ぶことが重要です。
この記事では、振動測定手法を「定期測定」と「システム監視」という2つのカテゴリで整理し、どちらを選ぶべきかの判断基準を提供します。
この記事は、保全計画を立てる管理者・測定器選定を検討する技術者・測定手法を比較したい実務者の方に向けて書かれています。
💡 この記事で得られること
定期測定とシステム監視の本質的な違いと選択基準
各手法の特徴・コスト・測定精度の比較表
設備の重要度別の最適な測定方法と段階的導入ガイド
目次
1. 振動測定手法の分類:2つの大カテゴリ
1.1 定期測定 vs システム監視:本質的な違い
振動測定手法の最も重要な分類は、誰がデータを取得するかです。
カテゴリ | データ取得方式 | 測定頻度の例 | コスト感 |
定期測定 | 人が測りに行く | 年4回、月1回、週1回 | 低〜中(10〜50万円) |
システム監視 | システムが自動測定 | 連続 or 間欠(1時間ごと等) | 高(数百〜数千万円) |
定期測定は、測定者が定期的に現場に行き、その都度データを取得します。ハンディ振動計を使い、センサーを毎回取り付けて測定します。
システム監視は、センサーとデータ収集装置が常設され、システムが自動的にデータを取得します。連続測定(24時間)でも、間欠測定(1時間に1回等)でも、人の介入なしに自動で測定・記録します。
これを、家庭の体温測定で例えると理解しやすいでしょう
定期測定 = 朝晩の検温:毎日決まった時間に体温計で測る
システム監視 = ウェアラブル体温計:自動で体温を記録し続け、発熱したらアラート
どちらが優れているかではなく、目的に応じて選ぶことが重要です。
1.2 測定手法の全体マップ
【振動測定手法の全体像】
定期測定(人が測りに行く)
├─ 接触式:ハンディ振動計
│ センサーを毎回取り付け
│ 価格:10〜50万円
│
└─ 非接触式:レーザー・画像解析
レーザードップラー振動計
価格:100〜1000万円(レンタルも)
├────────────────────────────────────────┤
システム監視(システムが自動測定)
├─ 連続監視(24時間連続測定)
│ ├─ 有線オンライン監視
│ │ 価格:数百〜数千万円
│ └─ 無線IoT(高頻度送信)
│ 価格:数百〜1000万円
│
└─ 間欠監視(スケジュール測定)
├─ 有線+間欠測定
│ 例:1時間に1回、30秒測定
└─ 無線IoT(低頻度送信)
例:1日1回、60秒測定
価格:数百〜1000万円
※ 埋め込み型センサー(センサー常設+手動測定)は
定期測定の効率化手段として存在しますが、
導入例が限定的なため本記事では割愛します。
2. 定期測定 vs システム監視:どちらを選ぶか?
2.1 選択の3つの軸
最適な測定手法を選ぶには、以下の3つの軸で評価します。
実際の影響コストや検出速度,予算規模は一例になりますので、適宜置き換えて判断してください。
軸1:設備の重要度(故障時の影響)
重要度 | 故障時の影響 | 推奨手法 |
A(クリティカル) | 生産停止、安全リスク、損失 > 1000万円/日 | システム監視 |
B(重要) | 部分的影響、損失 100〜1000万円/日 | 定期測定(高頻度)or システム監視 |
C(一般) | 影響限定的、損失 < 100万円/日 | 定期測定(低頻度) |
軸2:必要な異常検出速度
検出速度 | 推奨手法 | 理由 |
リアルタイム | システム監視(連続) | 異常発生から数分〜数時間で検出 |
数時間〜1日以内 | システム監視(間欠) | 1測定周期以内に検出 |
数日〜1週間以内 | 定期測定(週1回) | 定期測定で十分 |
1ヶ月以内 | 定期測定(月1回) | コスト効率重視 |
軸3:予算(初期投資+5年間ランニングコスト)
予算規模 | 可能な手法 |
〜50万円 | ハンディ振動計 |
200〜1000万円 | 小規模システム監視(10〜30点) |
1000万円〜 | 大規模システム監視(50点以上) |
2.2 選定フローチャート
Step 1: 設備の重要度を評価
設備が故障した場合の影響を評価します。
生産ライン全体が停止する → Aランク(クリティカル)
一部の工程が停止する → Bランク(重要)
代替機で対応可能 → Cランク(一般)
Step 2: 必要な異常検出速度を決定
設備の劣化速度や故障進行速度から、必要な検出速度を決めます。
急激な故障(数時間〜1日で進行) → リアルタイム検出が必要
通常の劣化(数日〜数週間で進行) → 定期測定で対応可能
Step 3: 予算を確認
初期投資だけでなく、5年間のランニングコストも含めて検討します。
Step 4: 手法を選定
重要度 | 検出速度 | 推奨手法 |
A | リアルタイム | システム監視(連続) |
A | 数時間〜1日 | システム監視(間欠) |
B | リアルタイム | システム監視(連続) |
B | 数日〜1週間 | 定期測定(週1回) |
C | 1ヶ月以内 | 定期測定(月1回) |
2.3 コスト比較(5年間トータルコスト)
仮に、こんな状況を考えてみてください
10台の重要設備(Bランク)があり、各4点を週1回測定する場合(合計40測定点)。
パターン1:ハンディ振動計で定期測定
【初期投資】
ハンディ振動計(高機能型): 30万円
【年間ランニングコスト】
測定作業: 2時間/週 × 52週 = 104時間/年
人件費: 104時間 × 5,000円/時間 = 52万円/年
【5年間トータルコスト】
30万円 + 52万円 × 5年 = 290万円
パターン2:システム監視(連続・無線IoT)
【初期投資】
無線振動センサー: 40個 × 15万円 = 600万円
ゲートウェイ: 3台 × 50万円 = 150万円
監視ソフトウェア: 150万円
合計: 900万円
【年間ランニングコスト】
保守契約: 初期投資の10% = 90万円/年
バッテリー交換: 10個/年 × 2万円 = 20万円/年
合計: 110万円/年
【5年間トータルコスト】
900万円 + 110万円 × 5年 = 1,450万円
パターン3:システム監視(間欠・無線IoT)
【初期投資】
無線振動センサー(低頻度型): 40個 × 12万円 = 480万円
ゲートウェイ: 3台 × 50万円 = 150万円
監視ソフトウェア: 150万円
合計: 780万円
【年間ランニングコスト】
保守契約: 初期投資の10% = 78万円/年
バッテリー交換: 4個/年 × 2万円 = 8万円/年(寿命が長い)
合計: 86万円/年
【5年間トータルコスト】
780万円 + 86万円 × 5年 = 1,210万円
コスト比較まとめ
手法 | 初期投資 | 5年間コスト | 異常検出速度 |
定期測定 | 30万円 | 290万円 | 最大1週間遅れ |
システム監視(連続) | 900万円 | 1,450万円 | リアルタイム |
システム監視(間欠) | 780万円 | 1,210万円 | 最大1時間遅れ |
コストだけ見れば、定期測定が圧倒的に安価です。
しかし、システム監視には「異常の早期検出」という価値があります。仮に、設備故障による生産停止が1日あたり500万円の損失を生むとします。
定期測定(週1回)では、最悪の場合、異常発生から1週間後に検出されます。その間に故障が進行し、500万円 × 7日 = 3,500万円の損失が発生する可能性があります。
システム監視(間欠:1時間ごと)なら、異常発生から1時間後には検出でき、計画的に設備を停止して修理できます。生産損失を1日(500万円)に抑えられれば、数回の故障回避で投資を回収できます。
3. 定期測定の手法
3.1 接触式:ハンディ振動計
概要
作業者が測定器を持って測定点に行き、センサーを設備に取り付けて測定します。測定後、センサーを取り外して次の測定点へ移動します。
測定の流れ
【Step 1: 準備】 測定器とセンサー(磁石付き加速度センサー)を準備し、測定点リストを確認します。
【Step 2: 測定点へ移動】 測定対象の設備へ移動し、測定点の表面を清掃します(サビ・塗装を除去)。
【Step 3: センサー取り付け】 磁石でセンサーを取り付け、測定方向(水平・垂直など)を確認します。
【Step 4: 測定】 測定器でデータを取得します(通常10〜30秒)。
【Step 5: 記録】 測定値を記録し、写真を撮影します。
【Step 6: センサー取り外し】 センサーを取り外し、次の測定点へ移動します。
特徴
✅ 初期投資が安い(10〜50万円)
✅ 複数設備を1台で測定できる
✅ 持ち運びが容易
✅ 測定場所・方向を柔軟に変更可能
❌ 測定時にしかデータが取れない(異常の即時検出不可)
❌ 測定者のスキルにより計測誤差が生じる
❌ 測定点が多いと作業時間がかかる
機種タイプ
タイプ | 価格帯 | 機能 | 用途 |
簡易型 | 5〜15万円 | 総合値(実効値)のみ | スクリーニング |
標準型 | 15〜35万円 | 実効値+FFT解析 | 一般診断 |
高機能型 | 35〜100万円 | FFT+包絡線処理+データ記録 | 詳細診断 |
典型的なのは、次のような状況です
月1回の定期点検で、工場内の20台のポンプを測定します。
1台あたり3箇所(駆動側ベアリング、反駆動側ベアリング、ポンプ側ベアリング)×2方向(水平・垂直)= 6測定点。20台で120測定点です。
1測定点あたり1分(移動・取り付け・測定・記録)として、120分 = 2時間。移動時間や準備を含めても、半日で全ポンプの測定が完了します。
月1回×半日 = 年6日間の作業で済むため、ハンディ振動計(30万円)が最もコスト効率が良い選択です。
3.2 非接触式:レーザードップラー振動計
概要
レーザー光を対象物に照射し、反射光のドップラー効果から振動速度を測定します。完全非接触で、センサーを取り付けられない場所も測定可能です。
原理
動いている物体から反射される光は、周波数が変化します(ドップラー効果)。この周波数変化を検出することで、振動速度を計算します。
これは、救急車のサイレンと同じ原理です
救急車が近づいてくる時は音が高く、遠ざかる時は低く聞こえます。レーザードップラー振動計は、この現象を光で利用しています。
特徴
✅ 完全非接触(センサー取り付け不要)
✅ 微小振動を測定可能(nm〜μmレベル)
✅ 高温・回転部など接触不可能な場所も測定可能
✅ 複数点を連続測定可能(走査型)
❌ 高価(100〜1000万円)
❌ 測定面の状態に影響される(光の反射が必要)
❌ 屋外や振動が激しい環境では困難
適用場面
回転体の振動測定(タービンブレード、ファンなど)
高温部の振動測定(炉体、排気管など)
軽量・微細部品の測定(センサーの重さが影響する場合)
振動モード形状の可視化(研究開発)
購入 vs レンタル
レーザードップラー振動計は高価なため、常時使用しない場合はレンタルが有効です。
レンタル費用: 1週間30〜50万円程度
年2〜3回の使用なら、購入より経済的
3.3 定期測定の使い分け
項目 | ハンディ振動計 | レーザーLDV |
コスト | ◎ 安い | △ 高い |
測定精度 | ○ 良い | ◎ 優れる |
高温部 | △ 困難 | ◎ 可能 |
回転部 | △ 困難 | ◎ 可能 |
一般的用途 | ◎ 最適 | △ 特殊用途 |
選択基準
通常の測定: ハンディ振動計
高温・回転・アクセス困難: レーザーLDV
詳細解析・研究開発: レーザーLDV(レンタル推奨)
4. システム監視の手法
4.1 連続監視:24時間連続測定
概要
設備に常設したセンサーが24時間連続でデータを取得し、リアルタイムで振動を監視します。
システム構成
【連続監視システム】
設備A ─[センサー]─┐
設備B ─[センサー]─┼─[データ収集装置]─[ネットワーク]─[監視PC]
設備C ─[センサー]─┘ ↓ ↓
[連続記録] [警報表示]
[トレンド表示]
データの流れ
センサーが常時振動を検出(例:1秒ごと)
データ収集装置が信号を処理・デジタル化
ネットワーク経由で監視PCに送信
監視ソフトが異常判定・警報発報
データベースに蓄積(長期トレンド分析用)
特徴
✅ 24時間連続監視
✅ 異常を即座に検出・警報(数分〜数時間以内)
✅ 長期的なトレンド管理
✅ 過去データの保存・解析
❌ 初期投資が高い(数百万〜数千万円)
❌ データ量が膨大
❌ 保守・メンテナンスが必要
適用場面
Aランク設備(故障時の影響が極めて大きい)
急激な故障が想定される設備
24時間連続運転の設備
法規制で常時監視が必要な設備
4.2 有線 vs 無線の選択
4.2.1 有線オンライン監視
特徴
✅ 通信の安定性が高い
✅ 高速・大容量通信が可能
❌ 配線工事が必要(既設設備への導入が困難)
適用場面
新設工場(配線計画段階)
通信安定性を最優先する場合
4.2.2 無線IoT監視
特徴
✅ 配線工事不要(設置が容易)
✅ 既存設備への後付けが容易
❌ 無線通信の安定性(電波干渉、距離制限)
❌ バッテリー交換が必要
通信方式
方式 | 通信距離 | バッテリー寿命 | 用途 |
Wi-Fi | 〜100m | 数ヶ月 | 既存Wi-Fi活用 |
LPWA(LoRaWAN等) | 〜数km | 5〜10年(間欠時) | 広域 |
適用場面
既設工場(配線工事困難)
広域分散設備
よくあるのが、こんなケースです
広大な工場(敷地1万m²)に散在する50台の設備を監視したいとします。
有線システムでは、数百メートルのケーブル配線が必要で、工事費だけで数百万円かかります。既存の工場に配線を追加するのは、生産を止める必要があり現実的ではありません。
無線IoT監視なら、各設備に無線センサーを取り付け、工場内に数台のゲートウェイを配置するだけです。配線工事は不要で、生産を止めずに導入できます。
ただし、金属製の建屋内では電波が届きにくい場合があるため、導入前に電波状況の調査が推奨されます。
4.3 間欠監視:スケジュール測定
概要
センサーとデータ収集装置は常設されていますが、測定は「1時間に1回、30秒間」など、スケジュール設定されたタイミングでのみ行います。
連続監視との違い
項目 | 連続監視 | 間欠監視 |
測定頻度 | 常時(1秒ごと等) | 間欠(1時間に1回等) |
データ量 | 膨大 | 少ない |
異常検出速度 | リアルタイム | 最大1測定周期遅れ |
バッテリー寿命(無線) | 短い(数ヶ月) | 長い(5〜10年) |
コスト | 高 | 中 |
適用場面
ゆっくり進行する劣化を監視(腐食、疲労等)
バッテリー駆動で長期運用したい
通信コストを抑えたい(クラウド型)
データストレージを節約したい
Bランク設備(即時検出は不要だが、定期測定より高頻度が必要)
よくあるのが、こんなケースです
50台の補助設備(Bランク)があり、振動の急激な変化は考えにくいが、長期的な劣化傾向を把握したい場合。
連続監視では、データ量が膨大になりコストも高くなります。1時間に1回、60秒の測定を行う間欠監視なら、データ量は1/60に削減でき、バッテリー寿命も大幅に延びます。
測定パターン例
【1時間ごとの間欠測定】
00:00 - 測定開始
00:00〜00:01 - 60秒間データ取得
00:01 - FFT解析を実施
00:01 - 異常判定
00:01 - 結果のみをクラウドに送信
00:01〜01:00 - 待機(バッテリー節約)
01:00 - 次の測定開始
異常検出は最大1時間遅れますが、ゆっくり進行する劣化であれば十分対応可能です。
4.4 クラウド型監視サービス
概要
センサー・通信・データ解析・可視化をパッケージ化したサブスクリプション型サービスです。
特徴
✅ 初期投資を抑えられる(月額課金型)
✅ サーバー・ソフトウェアの保守が不要
✅ スマホ・タブレットで監視可能
❌ データがクラウドに保存される(セキュリティ検討必要)
❌ 長期的には総コストが高くなる可能性
月額費用の例
センサー1点あたり: 5,000〜10,000円/月
10点監視の場合: 5〜10万円/月 = 60〜120万円/年
5年間トータルコスト比較
方式 | 初期投資 | 5年間総コスト |
自社構築(無線IoT) | 750万円 | 1,200万円(50点) |
クラウドサービス | 50万円 | 350〜650万円(10点) |
小規模(10〜20点)なら、クラウドサービスが有利です。大規模(50点以上)になると、自社構築の方が経済的になります。
5. 実務での使い分けパターン
5.1 パターン1:中小工場(設備数20〜50台)
状況
従業員数: 50〜100名
設備: ポンプ・送風機・コンプレッサー等 計50台
重要度: 全てBまたはCランク
推奨構成
ハンディ振動計1台(30万円)
年4回の定期測定(1回2日間)
理由 設備数が限られており、クリティカルな設備がない場合、定期測定で十分です。年8日間の測定作業で全設備をカバーできます。
5年間コスト
初期: 30万円
年間人件費: 8日 × 4万円/日 = 32万円
5年間総額: 190万円
5.2 パターン2:大規模プラント(連続運転)
状況
従業員数: 200名以上
設備: 主要設備10台(Aランク)、その他50台(B・Cランク)
運転: 24時間連続、停止すると数千万円/日の損失
推奨構成
クリティカル設備10台: システム監視(連続、800万円)
その他設備50台: ハンディ振動計で定期測定(30万円)
理由 主要設備はシステム監視で異常を即座に検出。その他の設備は定期測定でコストを抑制。ハイブリッド構成が最も経済的です。
5年間コスト
システム監視: 800万円 + 90万円/年 × 5 = 1,250万円
定期測定: 30万円 + 32万円/年 × 5 = 190万円
5年間総額: 1,440万円
仮に、システム監視により年1回の故障を回避できれば(損失3,000万円/回と仮定)、1年で投資を回収できます。
5.3 パターン3:広域設備(複数建屋)
状況
敷地面積: 5万m²
建屋: 5棟に分散
設備: 100台以上
推奨構成
無線IoTシステム監視(間欠、1,200万円)
重要設備から順次導入(第1期: 30台)
理由 配線工事が困難な広域分散設備には、無線IoTが最適です。間欠監視でコストとバッテリー寿命を最適化。
導入計画
第1期(1年目): Aランク設備30台 → 720万円
第2期(2年目): Bランク設備30台追加 → 360万円
第3期(3年目): 残り40台追加 → 480万円
5.4 パターン4:研究開発・詳細解析
状況
新規設備の振動特性評価
振動モード形状の可視化が必要
使用頻度: 年2〜3回
推奨構成
レーザードップラー振動計(レンタル)
1週間レンタル × 3回/年 = 150万円/年
理由 購入すると数百万円かかる機器も、年数回の使用ならレンタルが経済的です。
5.5 パターン5:予算制約がある場合
状況
振動測定を始めたいが、予算が限られている
初期投資: 50万円以内
推奨構成
簡易型ハンディ振動計(10万円)
まず効果を実証してから本格導入
理由 低予算でスタートし、振動測定の価値を経営層に示してから、予算を確保して本格導入します。
6. 段階的導入の実践ガイド
6.1 段階的導入の考え方
いきなり全設備にシステム監視を導入する必要はありません
多くの工場では、以下のような段階的なアプローチが有効です。
【段階的導入のロードマップ】
Phase 1: 定期測定で全体把握(初年度)
↓ 異常設備・クリティカル設備を特定
Phase 2: 重要設備にシステム監視導入(2年目)
↓ データ蓄積・効果実証
Phase 3: 測定頻度の最適化(3年目以降)
↓ 安定設備は測定頻度減、要注意設備は監視強化
6.2 Phase 1: 定期測定で全体把握
目的: 全設備の振動レベルを把握し、異常設備を特定
実施内容
ハンディ振動計を1台導入(30万円)
全設備(50台)の測定を実施(年2回)
ベースライン(基準値)を確立
設備をA・B・Cランクに分類
成果
振動が大きい設備を特定
設備の重要度を評価
Phase 2の優先順位を決定
期間: 1年間
6.3 Phase 2: 重要設備にシステム監視導入
目的: クリティカル設備の異常を早期検出
実施内容
Aランク設備(5〜10台)にシステム監視を導入
連続 or 間欠を選択(設備特性に応じて)
警報値を設定
異常検出時の対応手順を確立
投資額: 500〜1,000万円(設備台数による)
成果
異常の早期検出
計画的な保全の実現
ダウンタイムの削減
期間: 1〜2年間
6.4 Phase 3: 測定頻度の最適化
目的: データに基づいて、各設備の最適な測定頻度を決定
実施内容
2年間のデータを分析
安定した設備(振動変化が小さい)→ 測定頻度を下げる(年4回→年2回)
要注意設備(振動が増加傾向)→ 監視を強化(定期測定→システム監視)
成果
測定作業の効率化
予算の最適配分
真に必要な設備への集中投資
6.5 段階的導入の効果
限られた予算で最大の効果を得られます。
Phase | 投資額 | 効果 |
Phase 1 | 30万円 | 全体像把握、優先順位決定 |
Phase 2 | 800万円 | クリティカル設備の保護 |
Phase 3 | 追加投資不要 | 運用最適化 |
全設備に一度にシステム監視を導入すると数千万円かかりますが、段階的導入なら総額1,000万円以内で、効果的な振動管理体制を構築できます。
7. まとめ
振動測定手法は、「定期測定」と「システム監視」という2つの大カテゴリに分けられます。
定期測定は、人が測りに行く方式で、ハンディ振動計を使います。コストが低く、多くの一般設備に適しています。
システム監視は、システムが自動的にデータを取得する方式で、連続監視(24時間)と間欠監視(1時間ごと等)があります。異常の早期検出が可能で、クリティカルな設備に適しています。
重要なのは、「すべての設備に最高の測定手法を導入する」のではなく、「設備の重要度と予算に応じて最適な手法を選ぶ」ことです。
📌 この記事のポイント3つ
測定手法は「定期測定」と「システム監視」に大別される。設備の重要度で選択
システム監視には「連続」と「間欠」があり、用途に応じて使い分ける
段階的導入(Phase 1→2→3)により、限られた予算で最大の効果を得られる
💡 明日から現場でできること
自社設備をA・B・Cランクに分類し、各ランクの測定方法を決める
Phase 1としてハンディ振動計1台を導入し、全設備のベースライン測定を開始
Aランク設備(クリティカル)からシステム監視の導入を検討する
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