SwRI配管振動評価線図とは?
~ 変位×周波数で"危険な振動"を見抜く4つの判断ライン ~
はじめに
工場やプラントで「配管が揺れているけど、どこまでが危険なのか?」という判断に悩んだ経験はないでしょうか?その判断の軸として、SwRI(Southwest Research Institute)が提案している「振動評価線図(変位 vs 周波数)」が、多くの現場で活用されています。
SwRIの振動基準線図とは
SwRIの技術者(Wachel・Batesら)が1976年に発表したこの図は、配管の振動変位と周波数(Hz)を組み合わせて、"疲労破壊のリスク"を評価するための経験則チャートです。
- 縦軸:振動変位(Peak-to-Peak mil。1 mil = 0.001インチ ≈ 0.0254mm)
- 横軸:振動周波数(Hz)
4本の評価ラインとその意味
線図には、Design・Marginal・Correction・Dangerの4本の線が引かれています。測定した変位と周波数の点が、どの線を超えているかで危険度を判断します。
| 測定値の位置 | 目安 | 推奨されるアクション |
|---|---|---|
| Design線未満 | 設計想定内 | 通常運転で問題なし |
| Design線以上 | 長く続くと疲労が蓄積しうるレベル | 監視を続けながら運転継続 |
| Marginal線以上 | 疲労破損のリスクが高まるレベル | 対策を検討 |
| Correction線以上 | 短期間での疲労破損が懸念されるレベル | 負荷低減・支持の追加などを優先 |
| Danger線以上 | 破損の危険が高いレベル | 即座に対処・運転条件の見直し |
⚠️ 4本の線は、周波数が高くなるほど右下がりになります。周波数の高い振動ほど、同じ変位でも配管に生じる応力が大きくなりやすく、繰り返しの回数も多くなるため、金属疲労が進みやすいからです。
成り立ち:現場の経験をまとめた基準
この線図は、石油化学プラントなどで配管の振動トラブルに向き合ってきた現場の経験をもとにまとめられたものです。開発者のWachel自身も後の論文で、「現場の運転担当者の経験に大きく基づいており、統計的な意味では平均的な配管に当てはまるが、配管の寸法や肉厚などの形状は考慮していない」と述べています。万能の判定基準ではなく、一次評価(スクリーニング)のための目安として使うのが適切です。
読み方の例:同じ揺れでも周波数で判定が変わる
仮に、ある配管で振動変位10 mil(約0.25 mm、Peak-to-Peak)を測定したとしましょう。同じ10 milでも、振動の周波数によって判定は次のように変わります(線図から読み取った目安)。
| 周波数 | 判定 | 目安 |
|---|---|---|
| ① 5 Hz | Design線以上(Marginal線未満) | 監視を続けながら運転継続 |
| ② 30 Hz | Marginal線以上(Correction線未満) | 対策を検討 |
| ③ 60 Hz | Correction線以上(Danger線未満) | 対策を優先 |
変位の大きさだけを見て「0.25 mmなら大したことはない」と判断すると、周波数の高い振動を見落とします。必ず周波数とセットで評価することが、この線図を使ううえでのポイントです。
注意点と補足知識
- 📌 Steel系の材料で適用される(樹脂系などには当てはまらない)
- 薬品による腐食などの材料腐食は考慮されていない
- 外力に対する損傷(工具による傷付き、地震によるダメージ等)は考慮されていない
まとめ
- ✅ SwRI基準線図は、配管振動の"安全判断"を助ける経験則グラフ
- ✅ 4つのゾーン(Design/Marginal/Correction/Danger)が判断の目安になる
- ✅ 計測 → プロット → 判断 → 対策 という流れを現場で再現可能
- ✅ 他の判断手法との"補完ツール"として使うのがベスト