Somera 開発ストーリー

Excel・PDFでの記録、いつまで続ける?──工数と確実性を自分で見積もって、設備カルテへ移る目安を決める

Tue Oct 27

毎月の転記・整理にかかる時間と記録の確実さ(書類・時計・チェック)を自分で見積もり、今の運用を続けるか設備カルテへ移るかを自分の数字で決める流れを示した図

Excel・PDFでの記録、いつまで続ける?──工数と確実性を自分で見積もって、設備カルテへ移る目安を決める

はじめに

SOMPIPE・SOMEQUIPで測り、PDFを保存して、Excelに転記して傾向を見る。この運用は、設備が少ないうちは十分に回ります。ただ、設備や担当者が増えるにつれて、「転記が追いつかない」「記録が抜けていないか不安」と感じる場面が出てきます。

この記事では、その感覚を「気のせい」で終わらせず、手間(工数)と記録の確実性の2つを、自分の数字で見積もる方法を紹介します。見積もった結果、今のままで十分だと分かれば、それも正しい答えです。

💡 この記事で得られること

  • 手作業の記録にかかっている時間と、記録の抜けや誤りを、自分で見積もる方法
  • 工数と確実性の2軸で、続けるか移るかを判断する考え方
  • 設備カルテ(Somera)へ移るときの進め方と、移らない選択の考え方

1. 無料アプリ+Excelで十分な範囲

最初に、移らなくてよい場合を整理します。

SOMPIPE・SOMEQUIPは無料で、測った結果はPDFレポートとして残せます。複数人で同じ手順で測り、PDFを共有フォルダに保存し、Excelで時系列に並べる運用でも、設備や担当者が少ないうちは十分に機能します。進め方はSOMPIPE・SOMEQUIPをチームで使うにまとめています。

次のような状況なら、今の運用を続けるのが合理的です。

  • 管理する設備が少なく、測る頻度も多くない
  • 記録をまとめる担当者が決まっていて、負担に感じていない
  • 過去との比較が、Excelで問題なくできている

SOMPIPE・SOMEQUIPには、複数人の結果を自動で集約する機能はありません。集約は手作業になります。この手作業の負担が許容できるか、そして記録が確実に残っているかが、判断の分かれ目です。

2. 手作業の工数を見積もる

「何台から」という決まった線はありません。職場ごとに、測る頻度も転記の手間も違うからです。そこで、自分の職場の数字で、1か月にかかっている時間を見積もります。

手作業の工数の式:設備数 × 月の測定回数 × 1回あたりの転記・整理時間 ÷ 60 = 1か月の工数(時間)。例として設備10台・月2回・10分なら約3.3時間、設備30台・月4回・10分なら20時間
手作業の工数の式:設備数 × 月の測定回数 × 1回あたりの転記・整理時間 ÷ 60 = 1か月の工数(時間)。例として設備10台・月2回・10分なら約3.3時間、設備30台・月4回・10分なら20時間

1か月の工数(時間)= 設備数 × 月の測定回数 × 1回あたりの転記・整理時間(分)÷ 60

「1回あたりの転記・整理時間」には、PDFを開いて値を写す、ファイル名をそろえて保存する、Excelのグラフを更新する、といった作業を含めます。

次の2つの例は、数字を仮に置いた計算例です。

設備数月の測定回数1回あたり1か月の工数1年の工数
例①10台2回10分約3.3時間約40時間
例②30台4回10分20時間240時間

計算の中身は次のとおりです。

  • 例①:10台 × 2回 × 10分 = 200分 = 約3.3時間。これを12か月で約40時間です。
  • 例②:30台 × 4回 × 10分 = 1,200分 = 20時間。これを12か月で240時間です。

「1回10分」は仮の数字です。実際の値は、まず1か月、転記にかかった時間をメモして確かめてください。ストップウォッチで測る必要はありません。「今日は転記で何分使ったか」を記録するだけで十分です。

3. 記録の確実性を見る

手間が小さくても、記録が抜けたり間違ったりしていれば、運用は機能していません。工数とは別に、確実性も見積もります。

3.1 記録の完全度

予定していた測定のうち、記録が実際に残っているものの割合です。

記録の完全度(%)= 記録が残っている測定回数 ÷ 予定していた測定回数 × 100

次の2つの例も、数字を仮に置いた計算例です。

  • 例①:設備10台 × 月2回 = 予定20回。記録が残っているのが17回なら、17 ÷ 20 × 100 = 85%。
  • 例②:設備30台 × 月4回 = 予定120回。記録が残っているのが96回なら、96 ÷ 120 × 100 = 80%。

測ったのに記録が残っていない回は、傾向を見るときの穴になります。「測った記憶はあるが、記録は見当たらない」という回が、どのくらいあるかを数えてみてください。

3.2 転記ミスを確かめる

転記を人が行う以上、写し間違いはゼロにできません。次のように確かめます。

  • Excelに転記した値のうち、数件を選ぶ
  • PDFレポートの原本の値と、1件ずつ突き合わせる
  • 誤りがあった件数を数える

数件の抜き取りでも、誤りが見つかれば、全体にも同じ問題が潜んでいる可能性があります。

3.3 探す手間と、形式のばらつき

数字にしにくいものも、確認しておきます。

  • 前回の値をすぐ出せるか:「前回はいくつだったか」を確認するために、複数のPDFやExcelのシートを開いていないか
  • 記録の形式がそろっているか:ファイル名、シートの作り方、メモの書き方が人によって違い、並べて比べられなくなっていないか
  • 比較まで手が回っているか:測っているのに、傾向を見る時間が取れず、その場の判定だけで終わっていないか

4. 工数と確実性の2軸で判断する

工数と確実性を、2つの軸で組み合わせて見ます。

工数(軽い・重い)と確実性(高い・低い)の2軸による判断:工数が軽く確実性が高ければ今の運用を続ける、工数が軽く確実性が低ければ運用を見直す、工数が重く確実性が高ければ人の頑張りに依存している、工数が重く確実性が低ければ移行を検討する
工数(軽い・重い)と確実性(高い・低い)の2軸による判断:工数が軽く確実性が高ければ今の運用を続ける、工数が軽く確実性が低ければ運用を見直す、工数が重く確実性が高ければ人の頑張りに依存している、工数が重く確実性が低ければ移行を検討する
確実性が高い確実性が低い
工数が軽い今の運用を続ける運用を見直す(抜けやすい)
工数が重い人の頑張りに依存している(担当が替わると崩れるおそれ)移行を検討する
  • 工数が軽く、確実性が高い:今の運用で問題ありません。
  • 工数が軽いが、確実性が低い:手間は小さいものの、抜けや誤りが出ています。まず運用ルール(誰が、いつ、どこに記録するか)を見直します。
  • 工数が重いが、確実性は高い:今は担当者の頑張りで回っています。その人が異動や休みで抜けると、崩れるおそれがあります。引き継ぎの観点でも、移行を考える材料になります。
  • 工数が重く、確実性も低い:手作業の運用が、限界に近づいている状態です。移行を検討する段階です。

ここに「何時間以上」「何%以下」という基準線はありません。自分の職場で、許容できる手間と、許容できる抜けの水準は違います。見積もった数字を、自分の基準と照らして決めてください。

5. 設備カルテへ移るときの進め方

移ると決めても、いきなり全設備を移す必要はありません。

Someraは、SOMPIPE・SOMEQUIPの計測エンジンを内部に組み込んでいます。Somera上で計測して「保存」を押すと、結果が設備カルテに記録されます。PDFの保存や転記の作業は不要になります。使い分けの全体像は、SOMPIPEとSOMEQUIPをSomeraに組み込んだ理由で解説しています。

進め方は、小さく始めるのがおすすめです。

ただし、Someraへ移っても、手間がゼロになるわけではありません。転記の作業は減りますが、設備カルテの登録や、計測ポイントの整理といった、新しい作業は発生します。プランと計測ポイントの考え方は、料金ページで確認できます。

6. 移らない選択も正しい場合

見積もった結果、次のようになるかもしれません。

  • 1か月の工数が小さく、負担に感じていない
  • 記録の完全度が高く、転記ミスも見つからない

その場合は、今の運用を続けて大丈夫です。無料の2つのアプリで、測る、判定する、PDFで残すことは十分にできます。

大事なのは、「そろそろ移るべきか」を気分で決めず、自分の数字で決めることです。半年後や、設備・担当者が増えたときに、もう一度見積もってみてください。

まとめ

記録の運用は、設備が少ないうちは無料アプリとExcelで十分に回ります。ただ、設備や担当者が増えると、転記の時間が増え、記録の抜けや誤りも出てきます。移るかどうかは、工数と確実性の2つを見積もり、2軸で組み合わせて、自分の職場の数字で決められます。

📌 この記事のポイント3つ

  1. 工数は「設備数 × 月の測定回数 × 1回あたりの転記・整理時間 ÷ 60」、確実性は「記録の完全度」と転記ミスの確認で見積もれる
  2. 工数が軽くても確実性が低ければ見直しが必要で、工数が重く確実性が高い場合は人の頑張りに依存している
  3. 移る場合は1台から小さく始め、移らない選択も正しい。半年後にもう一度見積もる

💡 明日からできること

  • 今月の転記にかかった時間を、1週間だけメモしてみる
  • 予定していた測定のうち、記録が残っている回数を数えて、完全度を出してみる
  • 転記した値を数件、PDFの原本と突き合わせてみる

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